7月1日にH3ロケット三号機打ち上げ成功の報がありました。これまでのロケットに比べ、「柔軟性」「高信頼性」「低価格」に優れ、他国のロケットとの競争力を高めるものとして期待されています。
先月、宇宙航空研究開発機構(JAXA)教授の津田雄一氏のお話を聞く機会があり、そんなこともあって、余計にH3打ち上げに関心を持ったところであります。
津田氏と言えば、世界で初めて小惑星からサンプルを採ってきた探査機「はやぶさ2」のプロジェクトマネージャー(PM)として有名な方です。
探査機というものは普通、飛んでしまえば行ったきりになってしまうのですが、はやぶさ2はサンプルを採って地球に戻ってくるというもので、非常に高度なミッションであるということが言えます。
はやぶさ2についてはこれまでTV等で特集が組まれ、どんなミッションだったかはすでに承知の方は多いことと思います。
講演では校長対象ということもあり、後半部分では「組織マネジメントとチームづくり」という視点でお話をして頂きました。
PMとして600人のスタッフをチームとして一つにまとめ、ミッションをいかに達成させるか。そのためにはやりたいことがやれるチームであること、そしてあきらめない心を醸成するチーム作りが重要であり、良いチームというのは「答えを解けるチームではなく、問題をつくれるチーム」であって、その場をつくるのがリーダーとしてのPMの仕事であるとおっしゃっていました。
問題を作れるチームは、老いも若きもない、上司部下もない、先輩後輩もないそれぞれがその道のエキスパートとして意見を出し合い、自己主張をぶつけ合って相互に問答をし、そうした衝突によってより磨き込まれたチームであり、これを経たチームはより高度な次元となり、成果を量産することができたといいます。
また、異常事態を意図的に発生させるという失敗させるためのシカケ(運用管制訓練)を繰り返し行い、失敗を重ねることでみんなから良いアイデアがでて、対処能力を高め、さらに良いチームに仕上がっていったということでした。
現在の学校教育も、旧来の教師からの一方的な教え込みではなく、学習者(生徒)視点に立ち、自らが学ぶことに興味や関心を持ち、「主体的で対話的で深い学び」になるよう学ぶことで、バランスのある資質・能力を獲得し、さらに生きる力を育んで行こうという風に変化しつつあります。JAXAのプロジェクトチームとまではいかないにせよ、課題意識を持ち解決しようとする生徒が増えてきています。ひょっとすると将来、JAXAの一員として活躍する生徒も出てくるかもしれません。期待したいところです。