創作スーパー神楽「にらみ潮」

 創作スーパー神楽「にらみ潮」は次のような言い伝えから生まれました。
 音戸の瀬戸では,干満の差が3.6mもあり,潮の差し込むときに一時的に潮が高くなるときがあります。この現象は「平清盛の白眼の潮」とか「清盛の睨み潮」とか名付けられ,伝えられています。そんな呼び名が付けられたのは,次のような伝説があったからです。

 その昔,平清盛は,平家の氏神である厳島神社の女神(ひめがみ)に恋をし,結婚を迫りに出かけました。ところが,女神が大蛇と姿を変えたので,逃げ帰り,音戸の瀬戸を渡ろうとします。すると,運悪く向かい潮で潮位が上がり,船を進めることができません。そこで清盛は「己れの切り拓いた瀬戸が思いのままにならぬとは,無念至極」と怒って,船の舳先に立って,海をハッタとにらみつけました。すると,あれほど高かった潮が引き,船を進めて警固屋に渡ることができた,というのです。

 この伝説は,平清盛の熱烈な厳島信仰から生まれたと考えられます。実際には,清盛が厳島神社に仕える巫女を深く愛し,二人の間に生まれた姫を後鳥羽上皇の宮中に入れた,という事実があります。

 実は平成17年まで演目「にらみ潮」は,警固屋中の校長室にずっと保管されていました。これまで警固屋中の創作神楽といえば「日招き」ばかりでしたが,当時の3年生がその事実を知り,是非自分たちでやってみたいという機運が高まりました。しかし,過去に「にらみ潮」行ったことがなくまた,指導した先生もいないまま,VTRを頼りにすることができないまま手探りの状態で取組が行われました。平成18年度の文化祭に初めて「にらみ潮」が上演されました。実際の台本には,舞台設定があり,夜の宇佐神社の境内で松明のかがり火をたいて行う設定となっていました。